その壱
ハワイに住み始めてかれこれ2年が過ぎる。
思い返せば色々あったような気がするが、相変わらず外へ出かけるのは面倒くさいし、人と話すときは緊張するし、朝起きるのはしんどい。
変わったといえば、以前より多少は大雑把になったことだろうか。
小動物のように震えながら1人で成田空港の出発ロビーに佇んでいたことが何だか遠い昔のことに思える。スーツケースと大きな肩掛けバッグ2つで飛行機に乗り込み「もう、戻れない」と震えながら機内で本気で泣きそうになった。(我慢してたのに機内上映のファインディング・ニモで涙腺崩壊)
そんなノミの心臓でハワイへ移住したわけですが、なんとか生きています。
本来なら留学や仕事、国際結婚など目的があるかと思うけれど僕の場合は何もなかった。住むアパートの契約さえも全て現地入りしてから済ませ、ソーシャルセキュリティナンバーやグリーンカードが手元に届くのを待って、英会話ブックを片手に電気会社まで開通の手続きをしに行ったりして落ち着いてから仕事を始めて、今に至る。
知り合った日本人の方にこの話しをすると口を揃えて「それでよく来たね……」と言われる。自分でも「これでよく来たな……」と思ってるので、当然かもしれない。
どれだけの出来事だったとしても、それなりの時間が過ぎれば思い出は薄れていってしまう。
実際アメリカ移住という人生の一大イベントだったにもかかわらず、アメリカ大使館へ行って片言の事務員から「ミギテ コウシテ! ミギテ ハ ココ!!」と言われながら忠誠の誓いをした記憶も所々抜け落ちているように感じる。
人生に一度の貴重な体験をしているのだから日々感じたことの備忘録にでもしたいと思います。
そのうち「これだから日本は」などという言葉が自然と口に出るような人間になれるようにがんばります
Mahalo